訪問看護に病棟経験年数は必要なのか?

訪問看護沼にハマっている中堅看護師やまさんです!→やまさんがどんな人かはこちら(運営者情報

よくブログサイトで「10個の理由!」とか「5つの秘密」とかタイトルで見かけますが、それがなかなかできない、やまさんです!あれをすると記事が書きやすくなるのか、はたまた閲覧数が増えるのか…真相は不明ですが、書きやすいようにゆるくやっていきます。何せ自称「ゆるい看護師」ですから(笑)そのうち整理するかもしれませんがね。

さて、今回は訪問看護に病棟経験年数が必要なのか?について書いていこうと思います。

経験年数3年以上?

求人広告にはよく病棟経験◯年以上と書かれていますね。そのため、訪問看護は経験豊富でないとできないんだ…と思われている方も多いと思います。

なぜ経験年数を求められるかというと、雇う側からしたら「処置を一人で任せられる」方が安心だからです。というか、看護師の看護技術を測る、一つのわかりやすい基準が病棟経験年数なんですね。

しかしながら、私の最初にお世話になったステーションの所長の名言をご紹介しましょう。

保清ケアができれば大丈夫!!!

え?本当に?って思いますよね。私も半信半疑でしたが、病棟経験が浅く、医療処置が苦手(私の経歴に関しては別記事参照)な私が、面接に行った時に不安なことをぶちまけた結果、返ってきたお返事がコレ。

理由は訪問看護ゆえの特徴にありました。

訪問看護の対象者は幅広すぎる

さて、問題です。

訪問看護対象の方の疾患ってなんだと思いますか?

・・・・・・正解は、世の中に存在する疾患、ほぼ全てです。中には初めて見るような疾患、治療法がない難病の方もおられます。さらに、ほとんどの場合、一人の方がいろんな病気を抱えておられます。

訪問看護は病気を見るのではなく、ご利用者様の全てを看ます

ものすごーい極端な例ですが、医師からの指示書には呼吸器疾患の病気が書いてあり、そのために訪問していたが、ある日、全然関係ないイレウスを起こして救急搬送なんてことも普通にあります。

もちろん同じ分野で長く勤めて「この分野は任せて!!」な看護師様も存分に力を発揮できます。が、幅広すぎるが故に、いくら同じ病棟で経験年数を重ねていたとしても、世の中全ての疾患に対応できるスーパー看護師ではない限り、はじめましての処置も出てくるでしょうし、はじめましての医療機械、はじめましての薬、はじめましての看護・・・はじめての遭遇だらけになります。

故に、どちらかというと、経験年数を問わず学び続ける姿勢の方が訪問看護をするのに向いている資質なのではないかなぁと思います。

気持ちの方が大切だったりする

保清ケアの実習って学生の時にやると思いますが、お湯の温度から始まり、体を拭く方向、服を着る順番などなど、注意点はたくさんあったと思います。

時代によって何が正解かは異なるので、ここでは正しい清拭についての言及は避けますが・・・

これらの注意点って何のためにあったのでしょうか。共通して言えるのは「安楽(学生さんが結構好きな言葉だと思っている)」のためではないでしょうか。

これはワタシ個人の思いなのですが、ご利用者様には是非とも「普段通りの生活」を楽しんでいただきたいのです。例え何かしらの疾患を抱えていても、できるだけ「普段の生活で過ごせるよう」にお手伝いするのが、訪問看護のオシゴトだと思っております。

保清もそうです。

ご自宅ではできるだけ気持ちよく過ごしていただきたいですし、単純に病気につながる可能性もあります。保清を作業的にこなすのではなくて、いかに気持ちよく、負担なく過ごせるか考える方が大切だよなぁと思います。

テクニックよりもハートが大切。

長い病棟経験が邪魔することもある。

病棟から訪問看護に転職した看護師が衝撃を受けることは珍しくありません。

病棟では「病気を治療」することを中心にしているので、糖尿病の方が高カロリーのものを摂取していたら、間違い無く止めるでしょう。あるいは末期がんで食事も摂取できない、嚥下機能も落ちている方に酒が飲みたいと言われたら、無理だと思うでしょう。

訪問看護だと、どちらも「あり」です。もちろん無条件にではなく、医師に確認を取ったり、家族の承諾を得るなど、必要な確認はしますが、できる限り本人の希望に沿うよう各方面に働きかけます。

ただ病棟歴が長くなればなるほど、この感覚についていくのが難しくなると思います。(注:全員の方がそうだとは言いません)

たかが3年病棟にいたワタシですら、最初は???でした。

そういう意味だと、学生の頃に口を酸っぱくして言われた「患者さんに寄り添うこと」を忘れていない、フレッシュな新人や若手が訪問看護をするのに向いている一面であると思います。

では教育面はどうなのか・・・?

きちんとした教育プログラムのある病院と比べると、やや見劣りするところはあります。

ただ訪問看護も新人育成に力を入れており、例えば東京都では訪問看護OJTのマニュアルを紹介しています(https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/kourei/hoken/houkanhoukokusyo.html:東京都福祉局のサイトに飛びます)。

必要最低人数ギリギリで運営しており即戦力を求める訪問看護ステーションでは一から教育というのは難しいのですが、新人を育てたいという志高い訪問看護ステーションも多数存在します。そういったステーションでは新卒や経験年数が少ない中でも入りやすい環境、教育システムが整えられており、おそらく熱い所長さんがおられますので、新卒でも訪問看護をやりたいんだ!!という熱い思いを面接でぶつけてみてください。きっと良いご縁が生まれることでしょう。

まとめ

ここまで長々と書いてきましたが、訪問看護に経験年数は必要なのか?に対する答えは、

訪問看護ステーションの考え方によるが、新卒であっても訪問看護に従事することは可能

です。

実際、ワタシも名言を生んだ所長の元で5年程度訪問看護を経験しましたが、問題なく働くことができました。また病棟経験1年程度の看護師や新卒の看護師とも働いたことはあります。

・・・いや、語弊はあります。失敗を繰り返しつつ、経験を重ねて知識や技術を磨いる・・・という方が正確です。

きついし辛いなぁと思うことはあっても、「つまらない」と思ったことはありません。

ナイチンゲールの「看護覚え書き」中の環境に関する言葉を引用しますが、ワタシは「看護とは、新鮮な空気と陽光、暖かさと清潔さ、静けさを適切に保つことである」という言葉が好きです。これを聞くまでは看護師は注射をしたり、医師の手伝いをするというイメージしかなかったのですが、医療行為をすることではなく「日常の環境の調整をすることから、看護がはじまっている!ということは、家で過ごせるお手伝いをするのも看護のうち!!」

そう思ったところから、訪問看護の魅力にハマり始めました。

いかに過ごしやすい環境を整えるか、いかに療養できる環境を整えるか。

そうして病状を悪化させることなく過ごせるか、できるだけ長く家で過ごせる時間を作れるか、最期の時を過ごせるお手伝いができるか。

これらを考えることが苦痛なのでなければ、年数なんて関係ありません。

訪問看護に挑戦してみるのはいかがでしょうか!というか、ぜひ、挑戦してみてください!!訪問看護を語り始めると、つい熱くなるやまさんでした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました